コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。

3.宮本武蔵の場合
彼は剣聖と呼ばれる数少ない侍の一人です。
彼は13歳の時に初めての決闘をしました。
その後、着実に腕を磨き21歳で京都に現れるとそこでも数々の決闘をしたのです。
伝説的な人物を次々に倒し、敗れたことは一度もありませんでした。

彼は戦略についての執筆も行いました。
代表的な書「五輪書(ごりんのしょ)」は、今でも兵法の奥義を伝えるものとして人々に読まれています。
また、自分の歩んできた道を記した「獨行道(どっこうどう)」も残しました。

1612年4月13日に起きたある出来事が、名実共に彼を伝説の人物とすることになりました。
佐々木小次郎という冷酷な相手との、最も厳しい戦いに臨んだのです。

彼はどうやってこの戦いに臨んだのでしょう。
先ず彼は、大幅に遅れて現れました。
何故遅れたかについては様々な憶測があります。
相手を焦らすための心理的な作戦だった・・・
潮が満ちる直前に現れ、相手を倒して潮の流れにのって去るつもりだった・・・
太陽が丁度、敵の視界を奪う位置まで昇るのを待って一気にとどめを刺そうとしていた・・・
どれが真実かはわかりませんが、彼の行為の背後にあるのは単純な直感だけでも理性的な分析だけでもなくその二つの融合だということです。

これらの物語は、今回のテーマの確信をついています。
「直感と理性をどうやって融合させるのか。」
何を選ぶかではなく、「どうやって選ぶか」そして「なぜ選ぶか」です。
なぜ他の物ではなく、これを選ぶのか。
選択に対して、私たちはどんな誤解をしていて、どういったことを考え、何ができるかを探っていきます。