コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業2回目の放送は
「あなたの人生を決めるのは、根拠は何」でした。
「自分で選んだはずのものは本当にあなた自身が決めたことだろうか。
実はその選択は 周囲や文化が あなたにそうしむけたのではないか?」と、問いかけます。

1.誰が選択をするのか
7歳から9歳の子供たちに、ある調査をしました。
日系アメリカ人、中国系アメリカ人、アングロ系アメリカ人が交じり合うようにして、三つのグループに分けます。
最初のグループは自分で選択するように求められます。
「六つの課題の内、どれをやりますか。何色のペンでその答えを書きますか。」

第二のグループは、それまで子供たちが会ったこともない先生から、
「この課題をやって、このペンで書いてください。」と指示されます。

第三のグループは、部屋に入ると先生から、
「みんなのお母さんは、この課題をやって、このペンで答えを書いてって言ってたわよ。」と伝えるのです。

どのグループが最もモチベーション高くこの課題に取り組んみ、成績が良かったのは誰でしょう。
アングロ系アメリカ人は、自分で選んだ時が最も成績が良かった。
それが先生だろうが母親だろうが関係なく、誰かからこうしなさいと言われ選択できないとわかるとモチベーションも成績も下がるのです。
メアリーは、自分がこうしなさいと言われたとき、がっかりし顔でこう言いました。
「なんで、ママに聞いたの?」

アジア系アメリカ人の子供たちは全く違う反応を示しました。
成績が最もよかったのは、母親からの指示があったと伝えられたとき。
次によかったのは、自分で選択したとき。
そして最も悪かったのは、アングロ系アメリカ人の子供たちと同様、それまであったこともない先生から指示されたときでした。
ナツミという女の子は、先生のところに来て先生のスカートの裾をつかんでこう言いました。
「ママに、ママに言われた通りにやったよ・・・って、伝えてくれる?」

アングロ系アメリカ人の場合、生まれたときから「自分は、自分自身だ。」と叩き込まれます。
でも、他の多くの文化では、人間関係を教えられます。
目上の人は何を望んでいるか。子供が何を望んでいるか。周りは何を考えているか。

これほどまでに、文化の違いは選択に大きな影響を与えているのです。