夢塾 ~日々の気付き〜

人生を豊かに変える気付きを書き込みます。

2012年02月

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業4回目の放送は「あふれる選択肢うをどう選ぶか」です。
私たちの日々あふれる情報の中で、選択することをあきらめてはいないでしょうか?
あふれる選択肢の中で正しい選択をするため、もっとも重要な選択に時間をかけるために、
選択肢そのものを大胆に仕分ける基準を設け,価値のないものは捨てる必要があると教授は授業をすすめます。

選択肢が多いことでのマイナスの効果には三つの原因があります。

<知覚判断と記憶力の限界>
1930年ハーバード大学のジョージ・ミラー博士が発表した有名な論文「マジカルナンバー7±2」は、人は順位をつけるアイテムが7つ以上あると混乱するという内容です。
単語・数字・写真などの情報を7つ以上記憶に留めようとしても、情報が消えていくのです。
「確かにそんなこともあるけど、でもそれでも選択肢が多くほしいと思うことがあるわ。」と、思うならばそれは、個人個人のの専門知識レベルに基づいています。

ガルリ―・カスパロフの「情報にに基づく直感」では、専門家は、単純化、優先付け、分類分けすることができ、チェスの名人は私たちより優れた記憶力があるのではなく、チェスに関する知識がより多く蓄積されているだけだと話しました。

駒をでたらめに置いたチェス盤を、名人と初心者に一瞬のあいだ見せたとします。
名人でも初心者と同じくらいしかチェス盤を再現できず、記憶力に差がないことが分かっています。
でも、ゲームの自然の流れの中に置いたチェス盤では、名人は初心者に大差をつけて再現できるのです。
なぜなら、チェス盤で起きていることを、単純化、優先付け、分類分けして素早く戦況を読み取ることができるからです。
ジャムで言えば、もっとジャムの知識を持っていれば簡単に選べるということになります。

ほしものが確実にわかっていなくても、知識があれば選択が楽になりますが、すべての事に知識を持つことはできません。
そうであっても、目の前の選択に対処しなければならないとすれば、私たちはすべてに置いて知識を求められる世界にいるということになるのです。


<わずかな違いを見分けられない>
マニュキュアを選ぶことにしましょう。
5色のマニュキュアしか置いていない店に行く人はいますか?100色くらいほしいですね。
教授は数年前の自分の経験を話し始めます。

教授は、マニュキュア売り場で2色の淡いピンクの間で悩んでいました。
アドールブル(愛らしい)とバレエ・スリッパ―ズです。
二人の女性に尋ねました。
「アドーラブルにすべきよ。本当に淡いピンクで、塗ったら華やかになると思うわ。」
「そうね。それよりバレエ:スリッパ―ズにすべきよ。これも本当に淡いピンクなんだけど上品に見えると思うの。」
華やかと上品・・・その外見的な違いを目が見えない教授はその二人に聞いてみたのです。
二人の一致した意見は「あなたがこれを見ることができたら違いが分かるのに・・・」でした。

教授は本当に見えないことが選択を妨げているのだろうかと考え、大学の学部の女子学生に実験をしました。
アドーラブルとバレエ・スリッパ―ズのラベルを剥がし、「どっちの色を選ぶ?」と聞いてみたのです。
半数の学生は「同じ色を別の瓶に入れたいたずらに違いない。」と言いました。
いつも研究材料にされて、疑り深くなっているのかもしれません。
残りの半数は、ほとんどの人がアドーラブルを選びました。

次にラベルを戻して、前回とは異なる女子学生に来てもらって選んでもらいました。
ほとんどの人がバレエ・スリッパ―ズを選んだのです。
  
私たちは二つの選択肢の幅が小さい場合、ほとんど見分けることはできないようです。
それなのに私たちは、どちらが自分の好みなのかを見極めなければならないと思っています。
どちらが良いかわからないときでも、「どっちでもいいわ」なんて決めたくないですね。
自由が許される今、選択は単なる機能ではなく、選択はただ必要なものを選んでいる訳ではありません。
着る服を選ぶとき、飲みたいソーダを選ぶとき、結婚相手を選ぶとき、キャリアの道を選ぶとき、子供の学校を選ぶとき、
どの選択に選択においても、自分の個性を出そうとしているのです。


<個性的な選択をしようとする> 
何かを選ぶときただ何を選ぶのか?何が必要なのかを自分に聞いているのではありません。
心の深い所で自分に深い問いを投げかけています。
まず、自分は何者なのか?
次に、自分はなにがほしいか?
また次に、どれを選べばいいか?

選択を通して自分を表現することは、自分の個性を主張し周りの人との違いを際立たせることです。
選択は自分の外見を思い通りに上から下までオーダーメイドするチャンスだという人もいます。
こうした自己表現は時々、選択というより義務に感じることもあるほどです。
目の前の選択肢が急激に増加している今は、選択に対するこんな思いが選択を難しくさせているようです。

選択は自分たちを個性的にするだけの手段ではありません。
選択は一人で行う行動だと考えがちですが、私たちは一人で選ぶことはありません。
選択するという行動はコミュニケーションを取ると言うことです。
私たちが意識的に、あるいは無意識に発しているボディランゲージと同じように、何かを選ぶ度に周りの人にメッセージを送っているのです。
「ねぇ、私ってユニークでしょう。それでも通じ合える。ちょっと個性的なだけで変人じゃないわよ。」

では、人の好みはどれくらいユニークなのでしょう。
教授は大学関係者や知り合いに協力してもらいながらある実験をします。
ネクタイを選ぶ実験です。
黒の無地、ペーズリー模様、蛍光塗料のヒョウ柄・・・
たくさんの種類のネクタイから多くの人達が選んだものは、少しだけユニークなものでした。
少しだけユニークなものを選びたいけれど、ユニークすぎて目立ちすぎる少数派にはなりたくないようです。

今日、選択は冒険的な大仕事になっています。
選択肢が多ければ多いほど個性的な選択をしようとするプレッシャーがかかります。
結局、自分は選択の総和なのですから、選択一つ一つに自分の個性を反映しようとしてしまうのです。

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業4回目の放送は「あふれる選択肢をどう選ぶか」です。
私たちの日々あふれる情報の中で、選択することをあきらめてはいないでしょうか?
あふれる選択肢の中で正しい選択をするため、
もっとも重要な選択に時間をかけるため、
選択肢そのものを大胆に仕分ける基準を設け,価値のないものは捨てる必要があると教授は授業をすすめます。

どちらが問題でしょう。
選択肢が多いことか?
選択肢が少ないことか?
この現代社会が持つジレンマについて考えてみます。

あなたがこの1週間に行った選択について書き出してみてください。(この授業の最後に使います。)

2000人のアメリカ人に1日にどれだけ選択をしているかの調査をしました。
その結果は1日70回。中には何千回も選択すると答える人もいました。

1949年当時、アメリカのスーパーには3700点の商品がありました。
今では45,000点の商品、大型ディスカウント商店には100,000点、ネット通販ショップになると1,000,000点、書籍のネット通販に至っては27,000,000点です。
典型的アメリカ人は1日に3,000点の広告を目にし、2008年に典型的アメリカ人が1年間にさらされた2者択一の問題は1.3兆ビットと推定されています。
ざっとそれを計算すると1日12時間ずっと情報にさらされていたことになるのです。
それほど選択しなければならないことが多いことが分かります。

教授はジャムの実験で有名になりました。
ジャムと言うと教授に結びつくほどに・・・

教授は大学院生の時、高級スーパーに行くことが好きで、そこは教授にとって遊園地のように楽しいところでした。
マスタード・ビネガー・マヨネース・・・それぞれ何百種類もの商品が陳列してあったからです。

でも、ある日教授は何も買わない自分に気が付きます。
教授は店長に尋ねました。「豊富な陳列は販売に効果があるのでしょうか?」
店長は、大勢の観光客を指さし、「効果はてき面だ。だってあんなに観光客が来るのだから・・・」
そこでちょっとした実験を行うことになり、その対象としてジャムを選んだのです。

店の入り口付近にジャムの試食コーナーを設置しました。
ある時は6種類、またある時は24種類のジャムを並べました。
1.どちらのコーナーの方が客はたくさん集まって試食するか?
    6種類・・・40%    24種類・・・60%
2.どちらの方がジャムを買ったか?
    6種類・・・30%    24種類・・・3%

ジャムの陳列棚には348種類ものジャムが並んでいました。
ジャムは試食コーナーでは買うことはできず、購買欲を高めるクーポンだけ渡したのです。
もしジャムを買うなら陳列棚に行き、ジャムを選び、精算する必要があります。
陳列棚では、店員の格好をしたリサーチの担当者が、在庫の確認をするふりをしながら、お客さんの会話を立ち聞きしていました。
会話は2種類に分かれました。
1.「レモンカートがおいしかったわ。」「そうね。」、商品を探しカートに入れる。
2.「レモンカートがおいしかったわ。」「そうね。でも、ビクトリアプラムもおいしかったわ。」「リトルスカーレットはどうだ。試食していないけど・・・」
こんな会話は2分、5分、10分、中には15分もこんな会話を続けていたのです。
こんな会話になると決まって、「他を見てから後で戻ってきましょう。」といいますが戻って来るのかは疑わしものです。
人は豊富な品ぞろえに惹かれますが、いざ選ぶとなると選ばない傾向にあることが分かります。

選択肢が多いことが与える影響の研究は、この10年間多くの教育機関で多岐にわたり行われました。
その研究で選択肢が多ければ多いほど三つの大きなマイナス結果があることが分かりました。

1.現状を維持する傾向がある・・・それが自分の利益と相反することになろうと、選択肢が多いと結論を先延ばしして選ばないことを選択したり、現状を維持したりする。
アイスクリーム・・・31種類のアイスクリームがある店の売上の51%がバニラ・チョコ・ストロベリーです。でも、客は3種類のアイスしか置いていない店にはいきません。たくさんのアイスクリームが置いてある店に行くけれど親しみのある3種類のアイスくルームを購入してしまうのです。

2.利益に相反する選択をする・・・それが自分に利益と相反することになろうと、選択肢が多ければ多いほどひどい選択をする。
ジョージ・W・ブッシュが行った医療改革・・・公的医療制度パートDは医療を受けやすくすることが目的でした選択肢を増やして4000万人のアメリカ人が恩恵を受けることになる予定でした。でも、その中の500万人の低所得者は加入しなかったのです。
アンケート調査の結果では81%の人が「複雑すぎる。」66%の人が「プランは少ない方がいい」84%の人が今の医療プランでいい」と答えていました。

3.選択の結果に満足しない・・・選択肢が多い中で選択しても人は満足しない。
ケーブルTV・・・・契約者のためにチャンネル数を増やしても、客の満足度にはつながらない。
景気の悪い時の就職活動・・・景気の悪い時に職を得た人は景気の良い時に就職した人より満足している。お給料は景気が良い時に就職した人に追いつくのに平均で17年もかかってしまうにも関わらずです。

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。

直観とはいったい何なのでしょうか?
おそらく20世紀のもっとも偉大なノーベル賞受賞者で社会科学者のハーバード・サイモンは直感をこのように定義しました。
「直観とは認識以上のものでの、それ以下のものでもない。認識の一つのパターンである。」

「情報に基づく直感」を身に付けるためには、明らかに「経験」が必要です。
私たちが日ごろ食べ物の好き嫌いを認識しているのも「情報に基づく直感」です。
何度も繰り返すことによって、情報を分類、整理する能力が培われるのです。

でも、練習だけで身につくものではありません。
同じ経験をしていても「情報に基づく直感」が養われる人と養われない人がいるからです。
フィードバックも必要なのです。
何が良くて、何が悪かったのか?
何が原因で失敗したのか?成功したのか?
フィードバックを大切にするためには、目標をはっきりさせておくことも必要です。
それが結一、自分がどれくらい進歩しているのかを知る基準になるものだからです。

また、失敗したら別の方法を試すという実験も重要です。
練習→フィードバック→実験を繰り返すのです。

「情報に基づく直感」がどのように機能したかを、チェスチャンピオンのガルリ―・カスパロフを例にとって説明します。
カスパロフが今、8手先を考えているとしましょう。
もちろん彼のような人はもっと先の事まで考えていると思いますが・・・
ここでは8手先としておきます。

もし、彼があらゆる手のすべてを考慮しているとしたら、銀河の星の数ほどの選択肢ができてしまいます。
でも、彼はそうはしません。
彼は個々の駒や一つ一つの動きを見るのではなく、全体を一つの攻撃の回路としてあるいはパターンとしてとらえます。
そうすることで、不必要なパターンを素早く排除して少数の重要な選択肢に標準を合わせることができるのです。
難しいプレーをするのではなく、賢いプレーをしているのです。

「情報に基づく直感」で得られるものは何か?
自分の知識の限界を知る能力です。
更にその能力はあなたを過信から守ってくれるのです。

投資家のウォーレン・バフェットが毎年開く会合は、資本主義のウッドストックと言われています。
彼は世界中で投資の天才であり指導者であると一目置かれています。
その秘訣はなんでしょう・・・
「情報に基づく直感」を持つ人は「匂いをかぎ分ける能力」が磨かれるのです。
彼の面白さは、選択する事ではなく選択しない事に有ると思います。

彼は1990年にすべてのIT株への投資を拒否しました。
「市場でなにが起こっているのかはわからない。これらの会社はまだ不安定なのに高い値が付きすぎている。どうなってるんだ?」
「理解できないものに投資する気はない」と言って・・・
ウォーレンの勘は鈍ったという文字が紙面に躍りました。
しかしその後、IT企業の株価が暴落したことを思えているでしょうか。

孔子も言っています。
「知るを知るとなし 知らざるを知らずとなす これ知るなり」

「情報に基づく直感」とは、理性的な選択を通じて得た情報をもとにした直感です。
理性的な選択は、何度も繰り返すことで習慣になり、直感と思えるまでになるのです。
情報と理性を別々に置くとすれば、
直感=情報×理性 ということになります。

ガルリー・カスパロフはどうやって決断すればいいかと聞かれたとき、「先を見ないことだ」と答えました。
「大切なことは、今そきにある選択肢に集中し、それが何かどんな要素が含まれているかよく見ることそれらを正しく評価すれば、何を選ぶべきかは自ずと見えてくるはずだ。」と、答えたのです。

どうすれば、「情報に基づく直感」を身に付けられるでしょうか。
誰にでもできる簡単な方法があります。
誰もが分析や選択をするときに使える新しい方法は、選択日記を付けることです。
しばらくの間、少なくとも週に1度はその日記に、自分がした選択を書き出してみるのです。
小さなものでも、大きなものでもかまいません。
そしてその選択について考えてみてください。(フィードバックする)
どんな思考プロセスを経たのか。何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか?
その選択が、どれだけ成功したかの点数をつけてください。
時間が経つと記憶は当てにならないから、点数をつけることは有効です。
これを定期的に行い、しばらくして振り返るとパターンが見えてきます。

上手くいかなかったときに共通している特徴は何か?
上手くいったときに共通している要素は何か?
と、いったことが分かってきます。

誰にでも良い選択をすることは「情報に基づく直感」を養うことで可能になります。
「情報に基づく直感」を養うことは非常に価値があります。
それは何故かと言うと、すべての人が自分がくだした選択によって評価されることになるからです。
素晴らしいリーダーは選択の科学をひたむきに実践する人であり、私たち一人一人にそれを身に付ける力がある。
今こそ始めるときなのです。
と、教授はこの授業を終わりました。

とても、充実した内容の濃い授業だと思います。
そしてこうして書き留めることで、さらにこの授業の素晴らしさを感じているのです。



コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。


脳は直感を使った選択をすることで近道をしようとします。
その直感という不確かな記憶を確かにするために、間違った選択をすることがあります。
様々なレンズを通して情報を解釈し容認できるような情報を探します。
このように直感は私たちを道に迷わせるものです。

どうすれば正しい道に戻れるでしょうか
何かを決断しようとするとき、「それについていったい何を知っているのか」と問いかけてみます。
    枠組みを超えて正反対の視点で考えてみる
    あえて自分の見解に反するものを探したり
    自分の考えと反対のことを言ったりして人の反応を見たりすることも有効です。

ここまでの話で、直感が私たちを惑わせるものだとしたら、理性だけで選択したいと思うでしょうか?

次に直感が役割を果たした例を紹介します。

ポール・バン・ライパーという、とても有名なアメリカ軍の海兵隊の退役中将がいます。
彼は「経験と知恵に基づいて決断する。」と公言しています。
データは使いません。使うのは直感だけです。

イラク戦争の開戦前に、ペンタゴン(国防総省)は大規模な軍事演習をしました。
ミレニアムチャレンジ2002と名付けられたその演習は、二つの陸軍の戦闘を想定していました。
一つは、最強の武器と最高の通信技術を備えたアメリカ陸軍
対する仮想敵国は、通信技術も武器もはるかに劣る中東のとある軍事国家です。
仮想敵国の軍事司令官に選ばれたのが、ポール・バン・ライパーでした。

そこで起きたことは非常に興味深いことでした。
アメリカ陸軍は理性的な分析を利用するつもりでしたが、バン・ライパーは最初から相手の出方をみて対応し総力を生かして直感で行動すると決めていたのです。
アメリカ軍が、バン・ライパー軍の情報源を叩き潰しても、バン・ライパーは全く動じませんでした。
礼拝の最中モスクのリーダーにメモを渡せば、必要な情報を流してくれるから問題ないのです。

更にバン・ライパーは、最新の武器や設備を奪われても、動じませんでした。
小型のボートに爆弾を搭載すればいい・・・
性能は劣っても、今あるもので十分ミッションは達成できる。

アメリカ軍の艦船の半数が沈められ、バン・ライパー率いる仮想敵国軍の勝利が明らかになり、このままでは真珠湾以来の大失態を招いてしまう・・・
軍の高官は演習を中止しました。

もうひとり素晴らしい直感の持ち主を紹介します。
心理学者のポール・エクマンはウソを確実に見破ることができる数少ない人物です。
成果率は95%、しかも30秒以内に見破ることができるのです。

ポール・バン・ライパーやポール・エクマンは何故そのような直感を持っているのでしょうか?
彼らが持っているものを「情報に基ずく直感」というならば、それは豊富な経験からくるものです。

ポール・バン・ライパーはベトナム戦争のとき、常に気付いたことをメモしていました。
どこでも紙切れを見つけて、とにかく気付いたことを書いてポケットにしまっていました。
そして、戦闘に最中、藪の中に部下を集めて
「いいか。これがこれまでに起きたことだ。」
「あれを試そう」「これを試そう」と、指示していたのです。

ポール・エクマンはもともと人間ではなく動物の研究をしていました。
動物の顔のごくごくわずかな動きを観察していたのです。
あらゆる種類の動物を対象に、攻撃する前の表情や交尾の前の表情、食事の前の表情を見比べていたのです。
そして、基本的にそれらの表現は人間にも通じるものだったのです。

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。

決断ををするときの情報の捉え方や情報の集め方にも影響する枠組みを効果的に利用したケースがあります。
1981年、コカコーラ社にロベルト・ゴイズエタがという伝説的なCEOが就任しました。
彼は話し合いの場所を持つために、幹部社員たちと食事に行きどうすれば新しい清涼飲料水のシェアを伸ばせるかを話しました。
当時この会社は清涼飲料水で世界シェアの45%を占め、業界トップを走っていました。

でも、就任から数日たつとゴエズエタ社長は経営幹部全員の成長見通しを達成できたとしても、最大10%の成長しか見込めないだろうことに苛立ちを感じるのです。
彼はそれが本当に気に入らなかったので、ある日幹部たちのこう尋ねました。
「人が1日に必要とする水分の量は?」
「世界の人口は?」
「飲料市場全体における我々のシェアは何%だ。」
答えは2%。

幹部たちは45%だから安泰だと思っていたのに、突然2%に下げられて驚きます。
そしてそのゴイズエタの新しい基準のために、幹部たちの視点はリスクを回避する利益の視点から、リスクをいとわない損失の視点へと移行していくのです。

1981年当時、このメーカーの時価総額は42億ドルでしたが、1997年にゴイズエタが亡くなったときには飲料水事業にも参入し、時価総額は1520億ドルになっていました。
ゴイズエタは幹部たちを奮い立たせ、想像力をかきたてることに成功したのでした。


過信した決断についてのいくつかのケースを説明します。

面接中の判断はどの程度当たるのか・・・およそ2%(実際に仕事をさせてみたりすれば25%)
何故、新商品の9割は失敗に終わるのか
何故、合併した企業の80%が計画通りに業績を上げられないのか
何故、新しい企業のほとんどが4年以内に破産するのか

人は新しいことや物に取り組むとき、その良い面ばかりを見てしまいます。
結婚相手の場合も同じです。
私たちは取り組んでいるものや、一緒に過ごしている人のポジティブな面に集中する傾向があり、目の前にあるものを過信してしまうのです。

何も知らない人は過信もせず、非常に多くの事を知っている人も過信しません。
大多数の人がその中間であり、少ししか知らないのにそれ以上に知っていると思って過信する人たちなのです。

ウォールストリート社はある実験をしました。
投資の専門家にいくつかの銘柄を選んでもらう。
ダーツで銘柄を選ぶ。
どちらのリターンが良かったでしょうか?・・・ダーツです。
投資家は過信しているのです。

フィリップ・テトロップという人がTVに出る政治家の批評と予測を20年間にわたり検証しました。
ほとんどの予測が、偶然という程度しか当たっておらず、正しく批評し予測した政治家は一握りだったのです。
過信しない人はTVには出ません。
過信しない人は、小さめの予測しかしないので面白くないのです。

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。

次に教授は、私たちの選択のプロセスを加速させて台無しにしてしまう別の要素に目を向けます。
あなたなら次の選択肢の内、どちらを選びますか?
<質問1>
A.無条件に今、100ドルをもらえる。
    ・・・多くの人が選択する(確実だから)
B.勝負をして勝つと200ドルもらえる。(確率は5割)
    ・・・少しの人が選択する(増やすチャンスがあるから)
<質問2>
C.無条件に私に100ドル支払う
    ・・・ほとんどいない(100ドルなら払える)
D.勝負をして負けると200ドル支払う。勝と支払わなくてよい。(確率は5割)
    ・・・多くの人が選択(支払わなくて済む確立にかけたい)

これはプロスペクト理論と言われています。
ダニエル・カーネマンとエイモス・ドベルスキーという有名な心理学者が展開した理論で、ダニエル・カーネマンはこの研究でノーベル賞を受賞しました。
原理は簡単で、情報をどの枠組みで捉えるかによって選択が左右されるというものです。

この選択肢はどれを選んでも期待値は同じなのに、選択に違うが埋めれるのは何故か?
<質問1>では、利益という枠組みで、<質問2>では損失という枠組みで捉えています。
利益では人はリスクを回避しようとしますが、損失ではリスクをいとわない傾向にあります。
何としてでも支払いを免れたいと、思うからです。
私たちの頭は利益より損失の重きを置いているようです。

枠組みは様々な形で私たちに影響を与えます。
人は常に処理しきれないほどの情報を得ています。
私たちの頭はそれらすべて受け入れて瞬時に整理し、そしてそれぞれの情報を解釈するためのレンズ・・・枠組みを用意するのです。
それが選択に影響するのです。

ものの売買をするとき
売り手と買い手では決断の仕方が違ってきます。
売り手・・・利益 
買い手・・・損失

医師へ新薬の説明をするとき
ある新しい薬を医師に説明する場合、生存率に焦点を置いて話すか、死亡率に焦点を置いて話すかで、決断の仕方が違ってきます。
生存率・・・利益
脂肪率・・・損失

投資家へ株の情報を教えるとき
ある期間にどれだけ価値が上がったかを強調するか、どれだけ価値が下がったかを強調するかで、決断の仕方が違ってきます。
価値が上がったか・・・利益
価値が下がったか・・・損失

枠組みはほかにも様々な影響を与えています。
あるグループをテロリストと呼ぶのと革命家と呼ぶのとでは大きく印象が違ってくるように・・・

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。

次に教授は、「皆さんをある旅にご招待します。」と授業を進めます。
ステレムナヤ・ロードは雄大な山々と崖緑に囲まれた極めて美しい道。
印象的な景観を楽しませてくれるが世界一危険な道とも言われいている。
舗装道と切り立った崖は、致命的な事故につながりやすく毎月平均2台の車が転落する。


ここへ行ってみたいという人はいますか?
半分以上の生徒が
手を叩きます。(教授は目が見えないため音で合図します。)
今度は、美しさの中にも危険がまざまざと見える写真を見せます。
それでも行ってみたいという人は手を叩いて・・・
手を叩く人は少し減ってしまいます。

文書を読んだ時と、実際の写真を見たときで決断が変わったのでしょうか?
文章からは美しい景色が重要なポイント・・・抽象的な情報
写真からは危険な情景が重要なポイント・・・具体的な情報
言葉の情報からでは条件や厳しさは伝わらない。

抽象的な情報は具体的な情報ほど記憶に残りません。
具体的な情報は鮮明で重大なものです。
プレゼンをするときに、事実や数字だけでなく図を入れろと言われるのはこのためです。
より具体的で鮮明にできれば選択の結果をしっかりと実感できるし、自分はそれがほしいのかほしくないのかを実感できます。

クレジットカードで買い物をするとき、現金で買うより30%~40%多く買うという情報があります。
明らかに支払い能力を超えた買い物をした人に、どうしてそんな買い物をしたのかと聞くと
「よく考えたら買えないとわかるのだけれど、紙切れやコンピューター上の文字を見ていたら簡単そうなの大丈夫だという気がしてしまった。」
と、言うのです。
選択の重要性を持たせるためには、選択肢に具体性を持たせることが大切なのです。

選択肢にもう一つの具体性を示せるのは、「単純接触」です。
何かを頻繁に見ていると、それがだんだん好きになってしまいます。
身近に感じ、親しみを感じるからです。
医師と製薬会社のセールスマンの関係では、セールスマンが医師を訪問する回数が多いほど、医師は新しい薬を採用し患者に処方するという傾向があります。
それほど記憶は当てにならないのです。

記憶は、情報の入ってくる順番に影響されます。
記憶は、情報の鮮明さに影響されます。
記憶は、情報が入ってくる頻度にも影響されます。

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。

<どうやって選ぶか。なぜ選ぶか。>
教授は突然、ただ聞いていてくださいと言いながら20名の有名な人物の名前を言い始めます。
そして、その直後に「あなたが重要な就職面接を受けるとして、あなたがその時間帯を決められるとしたら、どの時間帯にしますか。」と、質問します。
生徒たちは、朝1番、昼食前、昼食後、最後・・・

その質問の後、さっき読み上げた人物の名前をどれだけ記憶しているか、また男女比はどうだったかと尋ねます。
7名記憶している人が最高でした。
また、20名の男女比は1対1であったにも関わらず、女性の名前はあまり覚えられていなかったのです。

教授は、私たちが選択するときに先ず行うのは「過去の記憶をたどること」だと続けます。
情報がどれだけ手に入りやすい世界になったとはいえ、すべての事を調べながら進める訳にはいきません。
やはり自分の記憶が頼りなのです。

ただ、私たちの記憶は役には立ちません。
記憶はある方向に偏っている場合が多いからです。
脳が情報を符号化する順序には、初頭効果と親近効果があります。

初頭効果・・・最初と最後のものが記憶しやすい。
面接官はその日の初めと終わりにあった人を記憶しやすい。

親近効果・・・鮮明なものや特別なものが記憶しやすい。
面接官は日中であっても、何か特別な印象があった人を記憶しやすい。

情報の現れる順番が、漠然とした違いをもたらすことがあるのです。

2000年に行われたアメリカ大統領選挙では、フロリダで投票用紙問題が起きました。
連邦最高裁が、票の数えなおしの停止を命じたためにブッシュがフロリダでは537票差で勝ったことになっています。
でも、投票用紙の問題はあまり重要なことではないようなのです。

選挙結果を大きく左右したもう一つの要因があります。
ジョン・クルズニックという教授は、2000年のこの選挙をはじめ数多くの選挙を分析しています。
アメリカではどの選挙でも候補者名簿に記載される順番は一定の決まりはなく州や郡によって異なっています。

クルズニックはこの記載順序が選挙結果に影響するかを分析し、実際に影響することが分かったのです。
名前が先に記載された候補は、他の候補より2%有利だったのです。
ケネディとニクソンが争ったとき、ケネディは0.2%差で勝利したことからも、たかが2%されど2%だということがわかります。

2000年の大統領選挙を振り返ると、やはり注目するのはフロリダです。
フロリダ州の法律では、知事の所属する公認候補が名簿の一番上に記載されます。
2000年当時のフロリダ州の知事は、ブッシュの弟のジェブ・ブッシュでした。
つまりブッシュの名前が先に記載されたのです。
ここでブッシュは50000票獲得できる潜在的な要素を獲得したのです。

コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授の「選択」の授業3回目の放送は「最良の選択」です。
より良い選択をするための実践的なノウハウを伝授します。
私たちの選択のより大きな根拠となるのは「過去の記憶」です。
その記憶がいかに曖昧なものであるかを、教授が鮮やかに紐解きます。
過去の間違った選択をしていても、ついまた同じように選択をしていませんか?と、教授は問いかけます。
その間違いをしないために選択の記録「選択日記」をつけようと、教授は勧めるのです。

3.宮本武蔵の場合
彼は剣聖と呼ばれる数少ない侍の一人です。
彼は13歳の時に初めての決闘をしました。
その後、着実に腕を磨き21歳で京都に現れるとそこでも数々の決闘をしたのです。
伝説的な人物を次々に倒し、敗れたことは一度もありませんでした。

彼は戦略についての執筆も行いました。
代表的な書「五輪書(ごりんのしょ)」は、今でも兵法の奥義を伝えるものとして人々に読まれています。
また、自分の歩んできた道を記した「獨行道(どっこうどう)」も残しました。

1612年4月13日に起きたある出来事が、名実共に彼を伝説の人物とすることになりました。
佐々木小次郎という冷酷な相手との、最も厳しい戦いに臨んだのです。

彼はどうやってこの戦いに臨んだのでしょう。
先ず彼は、大幅に遅れて現れました。
何故遅れたかについては様々な憶測があります。
相手を焦らすための心理的な作戦だった・・・
潮が満ちる直前に現れ、相手を倒して潮の流れにのって去るつもりだった・・・
太陽が丁度、敵の視界を奪う位置まで昇るのを待って一気にとどめを刺そうとしていた・・・
どれが真実かはわかりませんが、彼の行為の背後にあるのは単純な直感だけでも理性的な分析だけでもなくその二つの融合だということです。

これらの物語は、今回のテーマの確信をついています。
「直感と理性をどうやって融合させるのか。」
何を選ぶかではなく、「どうやって選ぶか」そして「なぜ選ぶか」です。
なぜ他の物ではなく、これを選ぶのか。
選択に対して、私たちはどんな誤解をしていて、どういったことを考え、何ができるかを探っていきます。

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