大好きなコーヒーの豆を、月に1度買いに行くお店があります。
そのお店に行くとオーナーの男性と、30分1時間と話をしてしまいます。

彼は、私が偶然知り合った年下の女性の同級生でした。

ある日、私は偶然の出会いのすばらしさを思いながらそのお店を訪ねたとき、
彼からこんな話を聞くことができたのです。

「今度お店からDMが届きます。その葉書持ってきてくれると、少しお安くなりますから・・・」
「そうなんだ。ありがとう。」「エッ!、お店開いて何年ぐらいだっけ?」
「もうすぐ10年になります。」
「へ~!凄いね。この時代の10年間・・・事業を続けられて事は意味があるよね。」
と話す私に、彼はこの事業を始めるきっかけになったある出会いの話を始めたのです。

彼は、ある会社をリストラされ、途方にくれていました。
幸いにも、ご両親は健在で実家で過ごすことができますので、さしあたり衣食住には困りません。

でも、人生これからという時に大きな壁にぶつかったのです。
サラリーマンとして働くべきか、何か事業を始めるべきか?
でも、俺に事業なんてできるんだろうか?

そんな時、いつも訪ねるハローワークとは少し離れたところを訪ねてみたのです。
そこでもこれと言った職は見つからず、帰る途中に”自家焙煎コーヒーの店”が目に入ったのです。

ここに寄ってみよう!
彼は運命の糸に引き寄せられるようにそのお店に入ったのです。

店内を見ながら、意を決してそのお店のオーナーと思われる女性に声をかけました。
「自家焙煎コーヒーのお店をやってみたいと思ってるんですが・・・・」
彼の突然の問いかけに、女性オーナーは驚きましたが、彼の切実な思いをくみ取ったのか
その地域で幅広くその事業を展開しているあるオーナーを紹介してくださったのです。

それから彼は、その紹介されたオーナーのお陰で半年後にはお店を持つこととなったようでした。

出会いから半年間は夢物語のような展開だったのです。
それは自分の力だけでなく、支援の輪が広がる・・・
自分の夢があきらめないのではなく、あきらめきれなくなる瞬間でした。

そして、彼は最後にこう言ったのです。
「だから、この事業は続け続けて行かなければならないと思ってるんです。」
「それが、その人に見せられる自分の感謝のしるしだから・・・」

人は毎日、様々な人との出会いがあります。

心にいくつもの種を持ち、芽が出ないその種にも水をやり続けよう。
そうすれば、いつかその種に合った栄養が”ぽたり”と一滴、その種に落ちてきっと大きな実を結ぶこととなる。

そんな、夢を見たた朝のような、すがすがしい感動と感謝に包まれたのです。